ローリング・ストーンズの「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」、ビートルズの「レボリューション」、ザ・フーの「無法の世界」… 60~70年代のロックシーンを彩る名曲の数々。これらの楽曲に共通する、ある「秘密」をご存知でしょうか? それは、天才キーボーディスト、ニッキー・ホプキンスの存在です。
「セッションマン:ニッキー・ホプキンス ローリング・ストーンズに愛された男」は、音楽史に燦然と輝く、この伝説のピアニストの軌跡を辿ったドキュメンタリー映画。表舞台に立つことを好まなかった彼の、謎に包まれた人生、そして名曲誕生の瞬間を、貴重なアーカイブ映像と関係者インタビューで解き明かしていきます。
ホプキンスは、スタジオミュージシャンとして、実に多岐にわたるアーティストのレコーディングに参加しました。
- ロック界の巨人たち: ローリング・ストーンズ、ビートルズ、ザ・フー、キンクスといった、イギリスを代表するロックバンドはもちろんのこと、ジェフ・ベック・グループ、フェイセズなど、錚々たる顔ぶれが名を連ねます。
- ソロアーティスト: ジョン・レノン、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スター、ポール・マッカートニー…なんと、ビートルズのメンバー全員のソロアルバムに参加しているというから驚きです。
- その他: ジェファーソン・エアプレイン、ジョー・コッカー、ドノヴァン…ジャンルを超えて、彼の才能は求められました。
彼の特徴は、何と言っても、楽曲に完璧に溶け込むような、繊細かつ的確なプレイスタイル。派手なパフォーマンスをするわけではありませんが、まるで魔法のように楽曲を輝かせる、まさに「影の立役者」といえるでしょう。
例えば、「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」のイントロ。あの印象的なピアノリフは、まさにホプキンスのアイデアによるもの。このリフがなければ、この曲は全く違うものになっていたかもしれません。
輝かしいキャリアの裏で、ホプキンスは、難病のクローン病と闘っていました。激しい腹痛や下痢に悩まされながらも、彼は音楽への情熱を絶やすことなく、演奏活動を続けました。
しかし、病魔は容赦なく彼を蝕み、1994年、惜しまれつつも50歳という若さでこの世を去ります。
映画では、彼の闘病生活についても触れられています。病と闘いながら音楽を創造し続けた彼の姿は、多くの人々に感動と勇気を与えるでしょう。
ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ジェフ・ベック、ロジャー・ダルトリー、ピーター・フランプトン…そうそうたるアーティストたちが、インタビューでホプキンスへの想いを語ります。
「彼のピアノは、まるで魔法のようだった。どんな曲でも、彼の手にかかれば、素晴らしいものになった」- ミック・ジャガー
「ニッキーは、真の音楽家だった。彼は、音楽を心から愛し、演奏することを心から楽しんでいた」- ジェフ・ベック
彼らの言葉からは、ホプキンスがいかに才能豊かで、そして人として愛されていたかが伝わってきます。
本作では、「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」「いとしのレイラ」「いとしのエリー」など、誰もが知る名曲のレコーディング風景を、貴重なスタジオライブ映像で楽しむことができます。
ホプキンスの指が鍵盤の上を軽やかに踊り、美しいメロディーが紡ぎ出されていく様子は、まさに圧巻。まるで、その場に立ち会っているかのような臨場感を味わえます。
また、映画には、ホプキンス自身が作曲した楽曲も多数収録されています。彼の音楽的才能の幅広さに、改めて驚かされることでしょう。
- タイトル:セッションマン:ニッキー・ホプキンス ローリング・ストーンズに愛された男
- 公開年:2023年
- 監督:マイケル・トゥーリン
- 出演:ニッキー・ホプキンス、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ジェフ・ベック、ロジャー・ダルトリー 他
- 上映時間:94分
- 日本語字幕監修:ピーター・バラカン
- ホプキンスは、生前、自身のキャリアを振り返るドキュメンタリー映画の制作を熱望していました。しかし、それは叶わず…本作は、彼の長年の夢を叶える作品とも言えるでしょう。
- 映画の公開日は、彼の命日である9月6日です。
- 日本語字幕監修は、音楽評論家のピーター・バラカンが担当。彼の深い音楽知識と愛情が、本作をより味わい深いものにしています。
公式サイト:https://sessionman.jp/
予告編: (https://www.youtube.com/watch?v=N4wxufOtz4E)
「セッションマン:ニッキー・ホプキンス ローリング・ストーンズに愛された男」は、音楽史に埋もれた天才ピアニストの真実の姿に迫る、感動的なドキュメンタリー映画です。
彼の音楽と人生に触れることで、きっとあなたも、音楽の新たな魅力を発見するでしょう。