フィンランドの巨匠アキ・カウリスマキ監督をご存知ですか?寡黙な登場人物と乾いたユーモアが特徴的な彼の作品世界。 そんなカウリスマキ監督が、映画製作とは全く異なるプロジェクトに挑んだというから驚きです。
なんと、フィンランドの片田舎に、自ら映画館を設立してしまったのです!その名も「キノ・ライカ」。
「キノ・ライカ 小さな町の映画館」は、この映画館設立の軌跡を追ったドキュメンタリー映画。カウリスマキ監督の映画愛と地域活性化への想いが詰まった心温まる作品です。
舞台は、フィンランドの小さな町カルッキラ。深い森と湖に囲まれた自然豊かな町です。かつては製鉄業で栄えた町ですが、近年は工場が閉鎖され人口も減少していました。
そんな町に、カウリスマキ監督は、廃墟となった建物を改築し、映画館を設立することを決意します。
映画館の名前は「キノ・ライカ」。「キノ」はロシア語で映画館、「ライカ」はカウリスマキ監督の愛犬の名前からとったそうです。
カウリスマキ監督は映画館の改築作業にも積極的に参加。椅子やスクリーンの設置、看板製作、映写機の調整など、自ら汗を流して作業する姿はまさに映画人魂!
地域住民たちもカウリスマキ監督の熱意に共感し映画館設立に協力します。映画館の建設は町全体を巻き込む一大プロジェクトとなったのです。
「キノ・ライカ」は、単なる映画鑑賞の場ではありません。映画を通して、人々が集い、語り合い、そして新たなコミュニティが生まれる場所。
映画館の設立は、カルッキラの町に活気を取り戻し人々の心を繋ぐ役割を果たしました。
映画には、カウリスマキ監督自身のインタビューも収録されています。
「映画は、人生で最も重要なものの一つだ」と語るカウリスマキ監督。
彼の言葉からは、映画に対する深い愛情と映画文化を未来へ繋いでいきたいという強い想いが伝わってきます。
近年、インターネットの普及やコロナ禍の影響により映画館を取り巻く環境は厳しさを増しています。
そんな時代だからこそ、「キノ・ライカ 小さな町の映画館」は、映画館の存在意義、そして映画文化の大切さを改めて私たちに問いかける作品と言えるでしょう。
- 公開年:2023年
- 監督:ヴェリコ・ヴィダク
- 出演:アキ・カウリスマキ、ミカ・ラッティ、カルッキラの住人たち
- 上映時間:81分