
はじめに:なぜ「エロい街」なのか?
「エロは、街から、旅から、本当に消えたのか?」
そんな挑発的な問いかけから始まる本書『新日本エロい街紀行 伝説のエロい街を訪ねて三千里』は、紀行作家カベルナリア吉田氏による異色のルポルタージュです。タイトルにドギツさを感じるかもしれませんが、その中身は実に真面目で観察的。昭和の時代に栄えた赤線・青線地帯、今も形を変えて残る歓楽街の姿を、歴史的・社会的な視点で見つめ直す一冊です。
書籍情報
- 書名:新日本エロい街紀行 伝説のエロい街を訪ねて三千里
- 著者:カベルナリア吉田
- 出版社:アルファベータブックス
- 出版日:2022年6月
- 判型・装丁:A5ソフトカバー、224ページ
- ISBN:978-4865980912
- 定価:1,980円(税込)
旅の軌跡:全国をめぐる「エロの痕跡」探訪
日本各地の「伝説の街」を歩く
本書では、著者が東北から四国、関西、中部、関東にいたるまで、かつて「エロい街」と呼ばれた土地を訪ね歩きます。その対象は風俗街、ソープ街、旧赤線地帯など多岐にわたります。
- 東北三大ソープ街
- 北海道の風俗文化
- 中部地方の色街
- 四国四県の巡礼
- 関西七大新地 など
これらの街を歩くことで、かつての性産業と地域社会の関わりや、現代における変容の様子が描かれていきます。
アプローチ:見て、聞いて、歩く旅
カベルナリア吉田氏は、自ら体験するのではなく、地元の人との対話や街並みの観察を通じて、「かつてのエロス」を探ります。風俗店に足を踏み入れる描写はなく、主に酒場や地域の人々との交流を通じた情報収集に重点を置いています。
著者紹介:カベルナリア吉田とは
- 本名:大野道弘
- 出身:北海道生まれ・千葉育ち
- 学歴:早稲田大学卒
- 経歴:読売新聞社を経てフリーライターに
- 専門:離島、沖縄、ニッチな旅、地域文化、食
カベルナリア吉田氏は、旅行作家・コラムニストとして活動しています。 他の著書としては、「秘境駅で途方に暮れた」「沖縄の島を自転車でとことん走ってみたサー」「沖縄ディープインパクト食堂」などがあります。 これらの作品からもわかるように、彼は旅や食、そしてディープな文化に造詣が深い作家です。
カベルナリア 吉田(カベルナリア よしだ、本名:大野 道弘(おおの みちひろ)、1965年[1] – )は、北海道生まれ[1]、千葉県佐倉市育ち[2]の紀行エッセイスト。ペンネームは自身のファンである女子プロレスラー吉田万里子の必殺技カベルナリアからとった。
Wikipedia
関連書籍と読み比べ
類書の紹介
- 勝谷誠彦『色街を呑む』:より没入型で詳細な記述を求める読者向け
- 早乙女宏美『ストリップ劇場のある街、あった街』:施設ごとの歴史研究として優良
- 吉田氏の他著書:『沖縄の島へ全部行ってみたサー』『絶海の孤島』など
「性文化」を主軸にしながらもアプローチの異なる書籍を併読することで、より立体的に「エロい街」の文化史を掴むことができます。