ヒップホップは、音楽、ダンス、ファッション、アートなど、多岐にわたる要素を含む文化現象です。しかし、その歴史や多様性、奥深さを理解するには、適切な入門書が必要です。そこで本書、「文化系のためのヒップホップ入門 (いりぐちアルテス002)」の出番です。
本書は、70年代終わりに誕生したヒップホップを、文化系の人々に向けて解説した画期的な入門書です。初期は音楽として楽しめていたヒップホップが、マッチョで暴力的なスタイルが主流を占めるようになって離れてしまった人も少なくないはず。本書は、そんな音楽好きの方に、どこをどう聴けば楽しめるのかを伝授してくれます。 気鋭のライター・長谷川町蔵氏とアメリカ文学者・大和田俊之氏による対話形式で、ヒップホップの誕生から現在までの流れを丁寧に追っています。 さらに、100枚のCDガイドも収録されており、実際にヒップホップを聴いてみたいという方にも最適です。
この記事では、「文化系のためのヒップホップ入門」の魅力を、多角的な視点から徹底的に解剖します。書籍情報、著者紹介、レビュー、そして類書との比較まで、網羅的にご紹介しますので、本書を手に取る際の参考にしてください。
書籍情報
項目 | 内容 |
---|---|
タイトル | 文化系のためのヒップホップ入門 (いりぐちアルテス002) |
著者 | 長谷川町蔵、大和田俊之 |
出版社 | アルテスパブリッシング |
出版年 | 2011年 |
発売日 | 2011/10/7 |
ページ数 | 280ページ |
ISBN | 978-4903951478 |
価格 | 1,980円 |
寸法 | 18.8 x 1.7 x 12.8 cm |
Amazonレビュー | 4.5つ星 |
目次
本書の目次構成は以下の通りです。
- ヒップホップの壁を越えて introduction
- 第1部 ヒップホップの誕生
- ブロック・パーティ期/オールドスクール期
- 第2部 イーストコースト
- 第2世代の登場/サンプリングによるトラック作り/ラップは何を言っているのか?/パブリック・エネミーとネイティヴ・タン
- 第3部 ウェストコースト
- ギャングスタ・ラップ登場/ギャングスタ・ラップのサウンド/西海岸のアンダーグラウンド・シーン
- 第4部 ヒップホップと女性
- 第5部 ヒップホップ、南へ
- ヒップホップ・ソウル/ティンバランドのサウンド革命/南部の時代
- 第6部 ヒップホップとロック
- 第7部 ヒップホップの楽しみ方
- コラム
- シグニファイング──“もの騙る猿”について/アフロ=フューチャリズム/アフロ=アジア的想像力/ビーフの歴史/サンプリングと著作権/ライム(押韻)と詩の伝統
- CDガイド100
- オールドスクール~エレクトロ期/イーストコースト/ウェストサイド/ヒップホップ・ソウル~サウス/ヒップホップの現在
著者紹介
長谷川町蔵
1968年生まれの著述家。映画と音楽を中心に執筆活動を行っています。ペンネームは、漫画家の長谷川町子と映画監督の町田町蔵に由来するとのことです。 お仕事の相談はmachizo3000live.jp(→@)まで。 ウェブサイト「UOMO」で連載中の「超初心者のためのHIPHOP STARTUP」では、ヒップホップの名盤を初心者向けに解説しています。
大和田俊之
1970年生まれのアメリカ文学者、ポピュラー音楽研究者。慶應義塾大学法学部教授。 アメリカ音楽史、ポピュラー音楽における黒人表象、日米文化交流などを研究テーマとしています。 著書に「アメリカ音楽史—ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで」(サントリー学芸賞受賞)、「アメリカ音楽の新しい地図」(ミュージック・ペンクラブ音楽賞受賞) などがあります。共著に『村上春樹の100曲』(栗原裕一郎編著)、『文化系のためのヒップホップ入門』(長谷川町蔵との共著)があります。
レビュー
Amazon.co.jpのレビューによると、本書はヒップホップファンだけでなく、音楽に興味のある幅広い層から高い評価を得ています。 以下に、レビューの内容を詳しく見ていきましょう。
好評レビュー
- 音楽ファン必読の一冊!著者たちの深い知識と丁寧な解説が素晴らしい。年代順に構成されているため、ヒップホップの歴史を体系的に理解できる点も魅力です。
- 40代でポップスを聴いて育った世代ですが、ヒップホップは馴染みの薄いジャンルでした。本書のおかげで、ヒップホップに興味を持つようになりました。
- 対話形式で書かれているため、とても読みやすいです。
批判的レビュー
- 後半部分の方が面白く、前半はやや冗長に感じられました。
- ヒップホップの歴史を概観するには良い本ですが、価格が高いと思います。
レビューに見られる読者の背景
- 友人から勧められて本書を読んだという人がいました。友人はダンスシーンに深く関わっているそうで、本書を通してヒップホップをより深く理解できたようです。
- 中高年で、若い頃はポップスを聴いていたという人がいました。ヒップホップは詳しくなかったものの、本書を読んで興味を持ったようです。
まとめ
「文化系のためのヒップホップ入門」は、ヒップホップ初心者にとって最適な入門書と言えるでしょう。対話形式で書かれているため、専門知識がなくても読み進めやすく、ヒップホップの歴史、文化、音楽的特徴を楽しみながら学ぶことができます。 特に、ヒップホップのイメージに抵抗感があった人や、昔は好きだったけど最近のヒップホップはよくわからないという人にこそおすすめです。 豊富な脚注、CDガイド、コラムなども充実しており、ヒップホップへの理解を深めるための情報が満載です。
本書は単なる歴史書ではなく、日本の民謡や演歌との比較や、ヒップホップミュージシャンとして成功するための秘訣など、幅広い視点からヒップホップを捉えています。 また、ダンスとヒップホップの関係性や、脳内物質エンドルフィンとの関連についても触れられており、読者の興味関心を刺激する内容となっています。
本書を読めば、ヒップホップに対する見方が変わるかもしれません。今までヒップホップを敬遠していた方も、本書をきっかけに、その魅力に触れてみてはいかがでしょうか。本書はAmazon.co.jpやブックオフオンラインストアで購入できます。 著者に関する情報は、長谷川町蔵氏のウェブサイトや大和田俊之氏の著書でさらに詳しく知ることができます。