映画「クリムト:エゴン・シーレとウィーン黄金時代」

この作品は、2018年に公開されたイギリス・オーストリア合作の伝記映画です。日本では劇場公開はされず、主にDVDや配信で鑑賞されています。

概要

この映画は、20世紀初頭のウィーンを舞台に、世紀末芸術を代表する二人の画家、グスタフ・クリムトと彼の弟子であり、後に独自のスタイルを確立したエゴン・シーレの人生と芸術に焦点を当てています。 「ウィーン黄金時代」と呼ばれる、芸術、音楽、文学が爛熟した時代の雰囲気を背景に、二人の画家の才能、情熱、苦悩、そして社会との葛藤を描き出しています。

あらすじと特徴

映画はドキュメンタリータッチで、当時のウィーンの街並みや美術作品の映像を豊富に交えながら、クリムトとシーレの生涯を追います。

  • グスタフ・クリムト (Gustav Klimt):絢爛豪華な装飾性と官能性を特徴とするクリムトの作品、代表作である「接吻」や「黄金のアデーレ」などが登場し、その制作背景や当時の社会における評価などが語られます。また、クリムトの女性関係や、パトロンとの交流なども描かれます。
  • エゴン・シーレ (Egon Schiele):クリムトから影響を受けつつも、より内面的で、時にエロティックで、人間の内面を深く掘り下げた作品を描いたシーレ。彼の作品、特に自画像や家族、恋人を描いた作品が紹介され、その革新性と、当時の社会からの批判などが描かれます。
  • ウィーン黄金時代:映画は、クリムトとシーレが生きた時代のウィーン、すなわち「ウィーン黄金時代」と呼ばれる、文化・芸術が爛熟した時代背景を詳細に描き出します。 世紀末ウィーンの退廃的な雰囲気、心理学のフロイト、音楽のマーラー、文学のホフマンスタールなど、同時代を生きた芸術家たちの影響も示唆されます。
  • エロスとマッサカー:原題にもある「エロスとマッサカー」は、この時代のキーワードの一つであり、性的なものへの関心と、第一次世界大戦前の不安な社会情勢を表していると言えます。映画は、二人の画家の作品に潜むエロス的な要素と、時代の終末的な雰囲気の両方を捉えようとしています。

詳細情報

  • 監督・脚本:ミケーレ・マッツァクラーティ (Michele Mally)
  • 脚本:アリシア・ルイス (Alistair Sooke)
  • 音楽:リモン・テルミニ (Rimón Términi)
  • 英語版ナレーション:ソフィー・ロー (Sophie Lowe)
  • 制作会社:3D Produzioni / Nexo Digital
  • 制作国:イギリス、オーストリア
  • 公開年:2018年
  • 公式サイトhttp://klimt.ayapro.ne.jp/
  • Amazon Prime Videohttps://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0826DTF74/

主な出演 (専門家・解説者)

  • ティム・アダムス (ジャーナリスト、作家)
  • キャサリン・ランプル (美術評論家、キュレーター)
  • ジェーン・カリアー (エゴン・シーレ研究者)
  • サビーヌ・ロッシグ (美術史家)